

的外れな少子化対策:「出会いの場」ではなく、国民の自由を取り戻せ
政府は少子化対策として「出会いの場を増やす」ことに力を入れている。しかし、この発想は完全に的外れだ。婚姻率や出生率が低下しているのは、単に「異性と出会う機会が少ない」からではない。問題の本質は、結婚や子育てを考える「経済的・時間的な余裕」が国民にないことにある。
日本の労働者は、増税と社会保険料の引き上げによって手取り収入を圧迫され続けている。住宅価格は高騰し、教育費の負担も大きい。さらに、長時間労働が常態化し、共働きでも十分な家庭の時間を確保できない。このような環境で、「出会いさえあれば結婚する」という考え方は非現実的だ。
また、少子化対策には財源が必要だと政府は言うが、一方で多額の予算が海外支援や不透明な支出に流れているのも事実である。まずは国内の労働者が余裕を持てる環境を整えるために、どこに資金を振り向けるべきかを見直す必要がある。
1. 経済的自由の欠如が結婚・出産の最大の障壁
現在の若者にとって、結婚・出産に踏み切れない最大の理由は 経済的な不安 だ。
現状の課題
- 税負担・社会保険料の増大 → 手取り収入が減少
- 住宅価格の上昇 → 持ち家のハードルが高い
- 教育費の負担増 → 子供を育てるコストが大きい
- 50代以降の雇用不安 → 長期的な生活設計が困難
このような状況では、結婚や子育てどころか、日々の生活を維持することが精一杯になってしまう。
解決策
政府がやるべきことは、「婚活支援」ではなく、経済的に結婚・子育てを選択できる環境を整えること だ。
- 税負担・社会保険料の軽減 → 可処分所得の増加
- 企業の賃上げ促進 → 労働者への利益還元を強化
- 住宅支援の拡充 → 若年層の住宅取得を支援
- 教育費負担の軽減 → 奨学金制度の見直し、大学無償化の推進
2. 長時間労働の解消なくして少子化対策は成立しない
結婚や子育てには 「時間の余裕」 も必要だ。たとえ収入が増えたとしても、働き詰めで家庭の時間が取れなければ、結婚や育児は難しい。
長時間労働の問題点
- 共働きでも家庭の時間が取れない
- 育児・家事の負担が偏る(ワンオペ育児の問題)
- 男性の育休取得率の低さ → 育児負担が女性に集中
特に、大企業では「働き方改革」が進んでいるが、日本企業の99%を占める 中小企業では、未だに長時間労働が根強く残っている。大企業が週4日制を導入しても、仕事のしわ寄せが下請けや外注先に回るだけでは、中小企業の労働者が苦しむだけである。
解決策
- 労働時間削減の実効性を高める(単に「週4日制」にするのではなく、生産性向上とセットで導入)
- 中小企業への業務効率化支援(デジタル化・省人化設備への補助金)
- 育児・家庭生活を支援する労働環境の整備(柔軟な労働時間、テレワークの普及)
3. シングルマザーの自立支援も不可欠
少子化対策として「出会いの場を増やす」ことにばかり注目されるが、既に子供を育てているシングルマザーの支援も重要 である。
現在、ひとり親世帯の年収には大きな格差があり、シングルファザーの平均年収は約400万円、シングルマザーは約250万円 とされている。これは、非正規雇用の割合が高く、出産・育児によるキャリアの分断が大きいためだ。
解決策
- シングルマザー向けの職業訓練・リスキリング支援(正社員雇用の促進)
- フレックスタイム・在宅勤務の拡充(仕事と育児の両立を可能に)
- 保育支援の強化(企業内保育所の増加、学童保育の拡充)
ただし、シングルマザー支援の目的は「再婚や再出産を促すこと」ではなく、シングルマザーが経済的にも心理的にも安心して子供を育てられる社会を作ること である。
結論:「国民に自由を取り戻すこと」こそ少子化対策の本質
政府が行うべきことは、「婚活支援」や「出会いの場の創出」ではない。国民に経済的自由と時間的自由を取り戻し、誰もが結婚・子育てを選択できる社会を作ること こそが、本来の少子化対策である。
✅ 政府がやるべきこと
- 可処分所得の向上(減税・社会保険料軽減)
- 労働時間の適正化(柔軟な働き方の導入)
- 中小企業を含めた労働環境の改善
- 無駄な支出の削減・少子化対策への資金投入
- シングルマザーの自立支援の強化
結局のところ、政府の評価を上げる最善の方法は 「新たな政策を増やすこと」ではなく、「国民の生活を圧迫しないこと」 ではないか。国民が自由に人生設計できる環境を整えれば、婚姻率も出生率も自然と上がる のである。
「出会いがないのではない、余裕がないのだ」婚姻減の本当の課題の的を外し続ける政府の謎(荒川和久) – エキスパート – Yahoo!ニュース