
クレア人財育英協会
労働トラブル相談士課 筆
2022年4月1日より、中小企業に対して、職場のハラスメントを防止するための対策強化について法的に義務化されました。
ハラスメントには、パワーハラスメント(以下パワハラ)、セクシャルハラスメント(以下セクハラ)、マタニティハラスメント(以下マタハラ)、カスタマーハラスメント等様々な種類があります。労働施策総合推進法の改正により、パワハラ防止措置が事業主の義務となりました。同時に、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法によりセクハラ、マタハラの防止対策が強化されました。
このことからもお分かりのように、会社におけるハラスメント対策の重要性はますます増してきています。ハラスメントの問題は、従業員満足度(ES)とともに、企業価値の毀損にも関わるものであり、放置していると会社の成長、場合によっては存続の障害ともなりかねません。しっかりと対策を行うことが急務となっています。
SNS時代の企業防衛とは?
SNSで誰もが情報を発信できるようになった現代、企業にとってネガティブな情報はあっという間に拡散されるようになりました。従業員や利害関係者などによる匿名での情報流出により、企業がマーケットの信用を落とす、企業価値を毀損するといった例は、枚挙に暇がありません。 そのようなネガティブ情報発信の中で、決して小さくない割合を占めるのが、従業員間のパワハラ、セクハラ、職場いじめなどのハラスメント問題です。企業従業員のハラスメントリテラシーが低いことで引き起こされたハラスメント問題は、SNSという誰もに身近で勘弁な発信ツールによっていとも簡単に顕在化されます。SNSで発信されたネガティブ情報はSNS間で共有、さらにはネットニュースや就活サイトなどを経由して、広く衆目に晒されることになります。企業にもデジタルタトゥーはあり、一度貶められた評判は、ネット上にずっと残り続けます。結果、継続的に企業価値が下がり続ける、評価が下がり続けると言えるでしょう。 特に、ハラスメントを受けた従業員が自殺や過労死、または精神疾患罹患などが明らかになった場合には、企業価値に対してのダメージは計り知れません。消費者は、自分達にも起こり得るトラブルには敏感なものです。粉飾決算や後継者争いなどでも信用を落とすことはありますが、従業員の生命や健康に関わる問題は、消費者の印象にずっと残ります。結果として企業イメージの回復を図ることが大変に難しくなります。これらは全て、企業従業員における「ハラスメントリテラシーの欠損が原因」と断言できます。採用時にハラスメントリテラシー教育を行なっていれば、限りなくリスクを減らすことができるものです。それだけ、従業員へのハラスメントリテラシー教育が必要な社会に、既になっています。
「他の従業員からの暴行などが不法行為にあたると判断された事案」―大手小売店舗事件
事案の概要
Y1社で店長代行として勤務していたXは、店舗運営日誌に、店長であるY2の仕事上の不備を指摘する記載をし、その横に「処理しておきましたが、どういうことですか?反省してください」と書き添えた。この記載を見たY2はさらし者にされたと感じ、Xに対し説明を求める中で、Xの態度に激高し、Xに暴力をふるった。 その後、Xは、Y1社の管理部長であるAに対し、Y1社における上記暴力事件の報告書の開示などを求め、Aとやり取りをしていたところ、その中でAは、XがPTSDないし神経症である旨の診断を受け、担当医から、被告会社の関係者との面談、仕事の話をすることを控える旨告知されていたことを認識しつつ、Xに対し、「いいかげんにせいよ、お前。おー、何を考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかお前。調子に乗るなよ、お前。」などと声を荒げながら述べた。社員Xは、Y2からの暴行をうけるとともに、その後にY1会社から不当な対応を受け、これによって外傷後ストレス障害に罹患したなどと主張して、Y1及びY2に対し、不法行為による損害賠償を求めた。
結論
他の従業員からの暴行及びその後の会社担当者の発言が不法行為にあたるとして、慰謝料請求を認めた。
判決のポイント
①Y2は、Xに対し、暴行を加えたというのであるから、その違法性は明らかであり、これによりXが被った損害を賠償すべき責任を負う。
②AはXに対し「いいかげんにせいよ、お前。おー、何考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかお前。調子に乗るなよ、お前。」と声を荒げながら原告の生命、身体に対して害悪を加える趣旨を含む発言をしており、Aが、XがPTSDないし神経症である旨の診断を受け、担当医から、被告会社の関係者との面談、仕事の話をすることを控える旨告知されていたことを認識していたことからすれば、本件発言は違法であって、不法行為を構成するというべきである。
③Y2によるXに対する暴行がXの妄想性障害発症の端緒となっており、Aによる上記②の発言も当時のY1会社担当者との折衝状況と相まって、その症状に影響を及ぼしたことは否定し難く、本件事件及び本件発言とXの障害との間には相当因果関係があるというべきである。
④Y2によるXに対する暴行に起因する妄想性障害によるXの損害は、それぞれ独立する不法行為である本件事件におけるY2の暴行とその後のAの上記②の発言が順次競合したものといい得るから、かかる2個の不法行為は民法719条所定の共同不法行為に当たると解される。
⑤本件では、Xの障害の発生及びその持続には、不当な事柄に対して憤り、論理的に相手を問い詰めるという性格的傾向による影響が大きいことから、損害額合計から60%を減額するのが相当である。
「暴行及び謝罪強制が不法行為と判断された事案」―某大手家電量販店事件
事案の概要
家電量販店で、雇用先が通信会社から受託した携帯用電話機の販売業務に従事していたAが、雇用先の従業員で教育担当のJ及びI並びに家電量販店の従業員Dから暴行及び謝罪の強制を受けたとして、雇用先及びその従業員J及びI、家電量販店及びその従業員D並びに通信会社に対して損害賠償の支払いを求めた事案。
結論
暴行及び謝罪強制は不法行為に当たる。
判決のポイント
1.Aに対する暴行
①雇用先の従業員Jが会話練習の際、Aに対し、怒号を発して、2つの机越しに、販売促進用ポスターを丸めた紙筒様の物で頭部を強く約30回殴打した後、同紙筒が破損したため、机上のクリップボードを取り、その表面及び側面を使って、ある程度力を込めて更にAの頭部を約20回殴打した(本件第1暴行)。
②家電量販店の従業員Dが、Aの商品取り置きに関する問題について激昂し、間髪を入れず、Aの右横からAの大腿の外側膝付近を3回にわたって強く蹴った(本件第2暴行)。
③雇用先の従業員Iが、AのIに対する入店時間に関する虚偽の電話連絡について怒鳴りつけて叱責するとともに、暴行を行った。この暴行は、左頬を手拳で数回殴打し、右大腿部を膝を使って蹴り、頭部に対して肘や拳骨で殴打する暴行が合計約30回に及んだ(本件第3暴行)。Aは、本件第3暴行を受けた後、Iの便所掃除をさせる等の発言に嫌気がさして退職を決意した。
④雇用先の従業員Iが、Aの退職を翻意させようとしたが、Aがこれに全く応じず、話し合いを打ち切るべく「こんな話をしにここに来たんじゃない。」と言いながらソファーから立ち上がったことに激昂して怒号を発し、その襟首を掴んで、Aをソファーの上に四つん這いの状態にさせ、手拳や肘で殴打したり、足や膝で蹴るという暴行を合計約30回にわたって加えた(本件第4暴行)。
⑤Aは、雇用先の従業員Iの指示で、通信会社で、通信会社の従業員であるL及びMに対し、3月13日に遅刻したこと及び入店時間について虚偽の連絡をしたことについて謝罪した(本件謝罪強制)。
2.家電量販店の使用者責任の有無
家電量販店は、家電量販店における業務に関連して行われた本件第2暴行について、Dの使用者として、使用者責任を負う。家電量販店が、Aの教育について雇用先の教育を担当する従業員を指揮監督していた事実も、本件第1、第3及び第4暴行並びに本件謝罪強制の際、J及びIを指揮監督していた事実も認められない。
⇒家電量販店は本件第2暴行についてのみ使用者責任を負う。
3.通信会社の使用者責任の有無
通信会社が、本件第1、第3及び第4暴行並びに本件謝罪強制の際、J及びIを指揮監督していた事実も、他にJ及びIを指揮監督していた事実も認められない。
⇒通信会社は本件各暴行(本件第2暴行を除く。以下同じ。)や本件謝罪強制について使用者責任を負わない。
4.家電量販店及び通信会社の安全配慮義務違反の有無
本件第1、第3及び第4暴行の内容、それらが行われた具体的状況、そこに至る経緯、具体的な予見可能性の有無、並びに家電量販店及び通信会社とJ及びIとの関係等を考慮すると、上記各暴行に関して、Aの身体等に対する危険を防止する義務があったとまで認めることはできない。本件謝罪強制についても、IがAを通信会社に赴かせ通信会社の従業員L及びMに謝罪させたという行為の内容、その行為の行われた場所及びIの意図からすると、家電量販店に本件謝罪強制に関して、Aの身体等に対する危険を防止する義務があったと認めることはできない。通信会社においても、IがAを通信会社に赴かせた点はもとより、AがIにより謝罪を強制されたこと自体についても、これによる危険を防止することが、通信会社の安全配慮義務の内容に含まれると認めることはできない。
⇒本件各暴行や本件謝罪強制について家電量販店及び通信会社に安全配慮義務違反はない。
5.雇用先の代表者の共同不法行為責任の有無
雇用先の代表者であるGは、雇用先事務所内で本件第3暴行を見ており、暴行を早期の段階で制止する余地が十分にあったにもかかわらず、これを制止しなかった。そして、Gが雇用先の代表者の立場にあり、本件第3暴行が雇用先の事業を遂行するために行われたことをも考慮すると、Gが本件第3暴行を制止しなかったことは、明らかに違法な権利侵害行為に当たる。
「仕事外し、職員室内での隔離、自宅研修等の命令が違法であるとして、損害賠償が認められた事案」―某高等学校事件
事案の概要
女性教諭Xが、高等学校によりなされた授業・担任等の仕事外し、職員室内での隔離、何らの仕事が与えられないままの4年6ヶ月にわたる別室への隔離、5年以上にわたる自宅研修等の命令や、一時金の不支給・賃金の据置は、Xが組合員であることを理由とする不当労働行為であると共に、業務命令権を濫用した違法は命令であり、これらは人格権等を侵害する不法行為に該当するとして、1000万円の慰謝料を請求した事案
結論
高等学校が女性教諭に対して行った、授業・担任等の仕事外し、職員室内での隔離、別の部屋への隔離、自宅研修等の命令や、一時金の不支給・賃金の据置は違法であり、これら違法行為により精神的苦痛を与えたことから、高等学校を経営する学校法人は600万円(※地裁では400万円)の損害賠償義務を負う。
判決のポイント
1.検討のポイント
一般に使用者は、労働契約あるいはその内容となっている就業規則に定められた範囲にて労働者が供給すべき労務の内容及び供給の時間・場所等を裁量により決定し、業務命令によってこれを指示することができるが、この範囲を超えて指示することはできず、また外形的には業務命令により指示できる範囲であっても、不当な動機・目的で発せられ、あるいは、その結果が労働者に対して通常感受すべき程度を著しくこえる不利益を与える場合には、その業務命令権の濫用として無効であり、また、そのような命令は違法。
教員の場合、仕事につかせない等ということは、生徒の指導・教育という労働契約に基づいて供給すべき中心的な労務とは相容れないものであるから、本人の同意がある等というものではない以上、一般的にも無理からぬと認められるような特別の事情がない限り、それ自体がXに対して通常甘受すべき程度を超える著しい精神的苦痛を与えるものとして、業務命令権の範囲を逸脱し、違法である。
なお本件では、Xは、労働組合に所属し、中心的な役割も果たしていたことから不当労働行為に該当するか否かも合わせて問題となった。
2 仕事外し
学校はXの教師としての適格性を欠く言動や業務命令違反を理由に、Xの学科の授業、クラス担任その他公務分掌の一切を外し、Xは出勤しても一日机に座って過ごさざるを得ない状況となった。学校が理由として挙げる言動等は、事実として存在しないか、Xの校長らに対する言動の中に必ずしも相当でない点や率直さに欠ける点はあったものの、その経緯をみれば、校長らの言動や対処の仕方にこそ問題があり(Xが2回産休をとり復職したことに対するもの)、かつ大部分は校長等との使用者との間で生じたもので、生徒の指導・教育に影響を及ぼすものはほとんど含まれていないことなどから、一般的にも無理からぬという事情はないし、むしろ、Xを嫌悪し、その態度を改めさせるか学校に留まることを断念させる意図のもとで行われた嫌がらせである。
3 職員室内隔離
学校は、Xが職員室において他の教諭の会話をメモしたり、居眠りをしたり、他の教員との間でもめ事を起こすなどといったことを理由として、2に加えて、Xの席を、他の教職員から引き離し職員室の出入り口近くに移動させたが、他の教員の会話のメモは事実の有無が明らかでない上、同じ職員室内で席を移動してもこれを防ぐ決め手にはならないこと、仕事はなく1日中席に座っているだけであり居眠りはやむを得ないこと、他の教諭とのもめ事とは組合ニュースの配布に係るものであると認められるが、席の移動によって止められるものではないこと、一方で、労働組合(※Xが中心的な役割を担っていた)が結成され、校長らが「外の集会や研究会に出たりしてはならない」と教諭に述べたり、Xの実家に組合を止めるようにXに言ってほしい旨電話したり、Xが不当労働行為救済申立ての手続きをおこなった翌日にXの提出した欠勤届の受領を拒否するなどしたことからすれば、組合の結成を嫌悪した学校がXに対して行った嫌がらせであるとともに、他の教員に対する見せしめであり、不当労働行為であるとともに違法。
4 第三職員室隔離
その後学校は、Xと他の教員との間で暴力沙汰寸前のトラブルが生じ、業務が阻害されるおそれがあったことを理由に、職員室と別の部屋(第三職員室)にいるようXに命じたが、他の教職員とのトラブルとは、組合の執行委員長が解雇されたことに端を発し、組合の上部団体等が学校に抗議の要請行動に訪れ、対応した女性職員に乱暴な言動を行ったことから組合員と他の教員の関係がまずくなっている中で、教員がXの肩を押した、Xに殴り掛かる態度を示した、などというもので、円滑さを欠ける点はあったものの、暴力沙汰まで生じかねない状況があったとはいえず、またむしろ当該他の職員に非があるにもかかわらずそちらには何ら注意を与えていないなどということからすれば、組合員であることを理由とする差別的取扱いであると同時に、明らかに違法。
5 自宅研修
さらにその後、学校は、都労委に係属した事件が近い将来に結論がでる見込みがなかったことを理由に、Xに自宅研修を命じたが、結論がでないことはXの出勤を禁止する理由にならないことはいうまではなく、結局隔離勤務によっても自発的に退職しないXにさらに追い打ちを欠け、学校から排除することを意図してなされた仕打ちであり、不当労働行為であるとともに違法である。
その他、ブラック企業大賞などで話題になってご存知の方も多いかもしれません。
【ブラック企業大賞サイト】http://blackcorpaward.blogspot.com/
このように取り上げられる事態になれば、記憶・印象はもちろんのこと、ネット上にも残り続け、長期的な影響は避けられません。
しかし、何も対策をしなければ人間同士の場では摩擦は起こってしまうものです。性悪説に立って、最善を望みつつ、しかし最悪を想定して準備をするのがマネジメントの役割となります。
ESG評価 ー これからは出資や融資の際の評価にも影響
ESG評価というものをご存知でしょうか。
ESG評価とは・・・
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字で、企業がサステナビリティ(持続可能性)の実現に向けて、取り組んでいくべき主要課題と考えられているものです。
ESGの具体的な課題としては、主に以下のものが挙げられます。
Environment(環境)
気候変動対策 温室効果ガスの排出量の削減 産業廃棄物や公害の撤廃 水やエネルギーの効率的利用 森林破壊の抑制 生物多様性の尊重Social(社会)
労働条件の適正化 機会均等の遵守 人権の保護 従業員の多様性の促進 安全かつ衛生的な職場環境の整備 児童労働・奴隷制度の反対 地域コミュニティへの参画Governance(企業統治)
企業倫理の遵守 役員報酬の適切な支給 取締役会の多様性と構成の適正化 贈収賄や汚職の撤廃 コンプライアンスの遵守昨今言われるようになったSDGs(Sustainable Development Goal)=「持続可能な開発目標」と同じく、企業もまた地球温暖化をはじめとする気候変動への対策や、労働者の人権問題など、サステナビリティ(持続可能性)に関連する課題に取り組む必要が出てきました。社会のサステナビリティに大きな影響を与える存在として社会的責任(CSR)が問われるようにもなってきています。
それに伴い、経営者や投資家も同じく、経済的な利益以外のことも考えていかなければならなくなったのです。
つまり、ESG経営に取り組むことは、自社利益に主眼を置いているだけでなく、社会貢献性の強い企業と受け取られ、社会的信用や共感を得やすくなってきています。
これからは、このESG評価にて融資、投資、新規契約などが左右される世の中に移行していくと考えられます。どの金融機関、出資者、取引先会社も、ハラスメント問題を抱える会社と付き合うリスクは避けたいものです。
実際にすでに、ESG評価によって融資利率などが決定される融資商品なども出てきています。
●南都銀行「ESG対応融資」
https://www.nantobank.co.jp/hojin/tyoutatsu/esg/
●三井住友銀行「ESG/SDGs評価融資/私募債」
https://www.smbc.co.jp/hojin/financing/sustainability/
●東邦銀行「ESG/SDGs貢献型融資」
https://www.tohobank.co.jp/hojin/raise/esg_sdgs.html
このようなサービスを皮切りに、ESG評価の採用は今後ますます広がっていくでしょう。過去も含めて、ハラスメント問題がESG評価の足枷となることは間違いありません。
リテラシー欠如が招く必然の悪循環
どうしてこのようなハラスメント問題が起こってしまうのでしょうか。
同僚であれ、上司と部下の関係であれ、長期間同じ場所で働く人間同士ですから、職場でのルールや、共通の認識が無ければ、利害関係の発生とそれに伴う軋轢は必ず起こります。そのために、ハラスメントというものに対する共通認識、及びハラスメント問題についてのルールは必要なのです。
ハラスメントリテラシーが無い者同士の場合、お互いに何がハラスメントなのかを分かっていません。加害者側はどのような行為が問題なのか、その結果どのような結果を招くのかの理解が無く、違法行為の意識もありません。会社にかかる負担、マイナス影響にも理解が無いでしょう。
被害者側も、ハラスメントに抵抗する根拠、対応手段についての知識を持っていないため、泣き寝入りするケースが多々あります。
ハラスメントリテラシー教育が行われていない会社では、社長役員含め従業員皆がハラスメントについて知らないので、その対応について明文化されたルールが存在しない、又は存在したとしてもその存在を認識していないことが殆どです。
また、「過去に自分も上司からされてきた、同じことを部下にして何が悪い」「若い時は厳しい状況に耐えてこそ社員は伸びる」等、仕事上の古い価値観から抜け出せていないことも、ハラスメント問題の原因の一つです。
従業員にハラスメントリテラシー教育を行うことが会社のメリットになるとは?
ここまでハラスメント問題が、いかに企業のリスクになり得るのかということをご案内してきました。時には会社を潰す事のリスクになりかねない、ということをお分かり頂けたかと思います。
しかし、このハラスメント問題リスクは、従業員全体にハラスメントリテラシーを浸透させることで、格段に下げることができます。何がハラスメント行為なのか、その結果従業員及び会社にどのような影響があるのか、についての従業員間での共通認識。これが重要です。
ハラスメントリテラシー教育は、従業員の入社時に行うのが理想的。やる気に溢れ、ネガティブな意識が無い中で、しっかりと知識のタネを蒔いて、リテラシーを育てましょう。
ハラスメント問題が起こった後の対処だけでは不十分
問題を起こさないことが最重要
パワハラ防止法改正により、ハラスメント相談窓口の設置が全企業に義務化されました。
ハラスメント相談窓口は、発生したハラスメント問題についての相談を受けて、どのような対応をすれば良いのかを案内します。
社内の従業員をハラスメント相談窓口とすることもできますし、その他にも会社外部のハラスメント相談窓口サービスが多数あります。この外部の窓口サービスは当然有意義なものであり、社内に窓口を設置していない場合には大変に利用価値があるものです。
但し、ハラスメント相談窓口自体は、起こった後に対処をする機関であり、問題が起こること自体を予防はできません。ハラスメント相談窓口を例えれば、風邪を引いた場合に受診する病院のようなものであり、手洗いやうがいのように風邪を予防するものではありません。問題自体は発生して、その後に対処するものです。
そして、ひとたび問題が起こってしまえば、業績や会社イメージへの影響は避けられません。受注キャンセル、購買忌避などの業績数字に出てくるものから、求人応募者減、入社辞退などの表立っては見えない形でのダメージが同時に蓄積されていきます。
これらを回避するためには前述の通り、第一に『ハラスメント問題を起こさない』ことが最重要です。ハラスメント問題が起こった後の窓口を用意することは法的にも当然の前提として、企業はいかに問題を起こさないかの準備までが、昨今では必要とされています。
このハラスメント問題自体を予防するには、従業員のリテラシー教育しか解決策はありません。相談窓口と従業員教育、どちらか片方でも十分ではありません。両方必要なのです。
コストが掛かってしまうのでは?
初期コストがかかることは間違いありません。しかし、いざ会社が傾くとすると、その損失は初期コストとは比較にならないほど甚大なものとなります。またハラスメント問題を引き起こしたという前歴により売上、融資や新規取引、人材確保などにも悪影響を及ぼす場合があり、有形無形を問わずダメージが拡大します。それよりは、リテラシー教育での初期コストの方が、圧倒的に少額で済むでしょう。
また、リテラシーを身に着けさせることにより会社全体の風通し、雰囲気も改善され、結果最もコストパフォーマンスの良い施策となります。
講師を招いてハラスメントセミナーを実施すれば良い?
ハラスメントリテラシーについての有料セミナーを実施する機関は探せば多数あります。
ただし、セミナーを開催すれば従業員がハラスメントについて学んでくれる、ハラスメントについての知識を身につけてくれる、と考えるのは大間違いです。「社員 セミナー」で検索しても、「だるい」「バカバカしい」などの検索ワードが続きます。
また、従業員は仕事の時間を割いて、または仕事の時間外で聞くだけのセミナーを受講することになります(時間外手当が出るとしても、他の仕事をできる時間を割り振る点は同様です)。結局、学習時間と別で仕事を行わなければいけなくなり、オーバーワークは避けられません。これでは、仕事のモチベーションも、学習のモチベーションも下がってしまいます。
つまり、社員向けにセミナーを開催しても、受けている振り、聞き流すだけが多く、効果が低いと言えるのです。せっかくのコストが無駄になるのは、大変にもったいないことです。
資格は意欲を引き出す魔法のツール
資格講座となるとどのような変化があるのでしょうか。ただ受動的にセミナーを受けるだけとは違い、多くの従業員は能動的になります。資格という学びの「ご褒美」が、見える形で付随してくるためです。
社会人の80%は資格を取りたいと考ているという調査結果もあります。これも、セミナーの受講だけとは異なり、資格合格という経歴書に書ける実績がひとつ増やせるためです。
「資格は役に立たない」説
資格など実務では何の役にも立たないと考えられる方はまだまだ多くいらっしゃいます。実務的な資格について言えば、そういう面も多々あるのは否定できないところです。
では、それはすなわち資格を学ぶ価値がゼロかと問われれば、そんなことはありません。むしろ資格を学ぶ効用は数多あります。
「資格の取得が学習モチベーションになる」
資格はあくまできっかけでしかありません。資格の学習で得た知識を入口として、能力を伸ばしていくこと。これが最も大切です。その際、資格に合格しているということが大きなモチベーションとなります。
「学習の過程で、自然とリテラシーが身に付く」
闇雲に学習していても、身につく知識というものは決して多くありません。しかし、資格の合格という明確な目標を持った場合には、集中力も継続力も増大します。結果多くのことを学習し、自然とリテラシーも身につきます。
「資格を取らせてくれる会社への帰属意識も高まる」
会社の成長は、従業員の成長です。しかし従業員の成長にフォーカスしている会社は、想像以上に少ないのが現状です。
「自分を成長させてくれる会社には、ぜひ貢献したい」→「今後も、会社と自分相互に win-winの関係でいたい」従業員の帰属意識はこのように育っていきます。決して勝手に且つ一方的に愛着を持つのではありません。
このポイントに気が付いている会社が、グローバル企業として成長しているのです。
資格は他にもメリットがある?
従業員の中でも部下だけでなく、上司も具体的に何がハラスメントなのか、何が違法なのかを学んでいることによって、ハラスメントに対する意識が高くなります。それまで当然に行われてきた慣例、行為が違法だということを知る機会になるでしょう。
また、部下も同じ内容を学んでいることをしっているので、上司としては「自分がいま部下に対して行なっている行為が、部下にはハラスメントと認識されている=自身の評価に悪影響を及ぼす」という意識が働き、自然とハラスメント行為を控えるようになります。
このようにハラスメントから守られた部下もいずれ上司になり、自分の部下を持つようになることで、会社全体がクリーンな労働環境となります。
従業員の社労士受験の支援などではダメ?
職場ハラスメントに精通している資格としては社会保険労務士や弁護士などがあります。
より専門性の高いこれらの資格を、従業員にとらせた方が良いのではないか、その方が会社にとってメリットが大きいのではないかと考える経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、普段朝から夕方まで仕事をしている従業員には、社会保険労務士や弁護士といった難関資格はあまりにハードルが高すぎると断言できます。結果、学習を継続できない、継続出来たとしても合格しなければ意味をなしません。
弁護士 | 社会保険労務士 | 労働トラブル相談士 | |
取得までの期間 | 5年 | 2年 | 2か月 |
取得までの総学習時間 | 4,000時間 | 1,000時間 | 20時間 |
取得までの費用(講座・受験料他) | 予備試験 100万円~ 法科大学院 300万円~ | 20~30万円 | 15万円 |
難易度 | ★★★★★★★ | ★★★★★ | ★ |
通勤時間やスキマ時間、休み時間などで学習できる程度に手軽で、聞き流しでも基礎的なことが学べるくらいが、従業員への導入としてはちょうどいいレベルです。そこで興味を持った人が、より深く学ぶために社労士にチャレンジする場合などは受験支援をすると良いでしょう。基礎的なことは、会社従業員全体が知っておくべきです。
労働トラブル相談士でハラスメントリテラシー教育
「資格が取れる」「ハラスメントリテラシーが学べる」さらには「ハラスメント相談窓口人員を社内育成できる」この3点から、従業員へのハラスメントリテラシー教育には労働トラブル相談士講座が最適と、ご案内させていただきます。
認定講座についても、20時間で全て修了できるので、本業の仕事にも負担をかけずに学ぶことができます。これまでの修了者の資格取得までの平均期間は、一か月間となっています。
2022年に全企業に設置が義務化されたハラスメント相談窓口の社内人員の育成にも、最適です。実利用者、お問い合わせ、資料請求等、労働トラブル相談士にご興味をお持ちいただいて、アクションをされた件数の三分の一が法人・会社となっており、ビジネスニーズが高まってきています。すでに動き出している会社も多いと推測できます。
これからのビジネスシーンにおけるグローバルスタンダードに合わせた社内環境、労働環境の整備のためにも、労働トラブル相談士を利用したハラスメントリテラシー教育を強くおすすめ致します。
従業員に対するハラスメントリテラシー教育の必要性、お分かり頂けましたか?
従業員のハラスメントリテラシーの欠如により、
●ハラスメント問題発生、顕在化による会社信用の失墜
●会社信用の失墜に伴う業績への悪影響
●従業員間でのトラブルによる職場環境の悪化
●従業員満足度(ES)の低下による業績への悪影響
等の不利益を会社が被ることになります。それらを未然に防ぐ方策を考える必要があります。
社内での相談窓口人材、労働トラブル相談士の出番です。
正しい職場環境は、生産性も上がります。
ハラスメントの無い職場を目指しましょう。
必要事項入力後、送信してください。講座資料をダウンロード頂けます。
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