【資格を目指される皆様へー CHREAの理念 ー】
日本の労働者は、もっと賢くならなければいけないと思うのです。
アメリカではここ三十数年で賃金年収推計が26%上昇しています。オーストラリアでは20%、ノルウェーでは実に54%上昇しています。
しかし、日本では増えるどころか減少している。
それだけ、消費できる金額は減り、値下げ圧力は上昇して、未曾有のデフレーションが進んでいると言えます。
一方、世界での購買コストは上昇していっています。国内のメーカーは価格にコストを転嫁できず、ステルス値上げなどが各方面で行われています。それでもコストを吸収しきれず限界を迎えると、賃金は上がらないが物価は上昇する、スタグフレーションに突入していくでしょう。
私は、その根っこにあるものが、『労働者の無知』だと思うのです。これは、労働者の責任だけでは無いと思います。もちろん、立法が適切な法律を整備し、行政が効果的な手を打てばもっと状況は改善されるかもしれませんが、だからといって労働者が自分たちの権利や義務を知らないで良い、という理由にはならない。自分たちの生活、未来を守ってくれるのは、第一に国ではない。自分自身であるべきです。
しかし実際には、労働者自身が学ぶこと、知ることを怠っているから、ブラック企業、または一般企業の中でもブラック労働などの犠牲になる。本来はやらなくても良い残業や休日出勤を強いられ、もらうべき給与を失っているのです。
資格学校の業界で長くやってきた私に、世の中のためにできることは決して多くはありません。自分自身でそれは感じています。
その中で、この国のために何が自分にできるのか。そう考えたときに、資格というシステムを使って、この国の労働者の意識を、もっと高められないかと思ったのです。
資格は、目標になります。キャリアになります。人は、漠然としたもののために頑張るのは難しいですが、ひとたび資格という目標ができたら頑張れるようになる。
だから、労働者の意識を高める、労働についての知識を広めれられる資格を作ろう、と考えました。
この資格の学習の中には、労働者が本当に知っているべき知識、情報が詰まっています。
本来は、国が義務教育中などで、全員に教えるべき内容だと思う。それを怠っているのは、国の怠慢だと思う。或いは、国民には知らないで欲しい、できることであれば無知でいて欲しい、と思っているのかもしれません。
そして、ブラック企業の経営陣は、抜け目がありません。的確に法律の穴を突き、搾取をし、利益を最大限にしようとするでしょう。道徳的ではありませんが、それが可能なのだから仕方ありません。だからこそ、労働者は自分の立場を、自分で守らなければいけないのです。自分の立場を守るために学ばなければいけないのです。
資格なんて、取っても意味がないという人がいます。ましてや民間資格なんて、言わずもがな。
仰ること、ごもっともです。確かに、比較それ自体には何の価値もありません。学んだ知識、技能にこそ意味があるわけですから、資格なんてただの名称です。
ただ一方で、資格というものの間違いのない効果がひとつだけあります。それは、前述のとおり資格は目標、ゴールになる、ということです。
多くの人は目標がないと、学ぶことは続きません。目標がないと、学びの方向性、学びの範囲が定まらないのです。それが定まらないとどうなるか。結果、迷子になる。進まなくなる。そして諦める。
資格の役割とは、勉強をしたい人に「こっちだよ」「あとゴールまでどのくらいだよ」ということを示すものなのだと思います。
私は学生の頃ずっと陸上の短距離をやっていましたが、100メートルを走ることなんて、何の意味もありません。100メートルに区切る意味もありません。しかし、「あなたは陸上部なのだから何メートル走ってもいいんですよ」言われたとしたら、もしかすると1 メートルも走らなかったかもしれません。
100メートルというゴールが与えられたから、その距離で最大限の力を出そうという努力ができた。
勉強も同じです。ゴールと、努力の範囲が区切られて、人は初めて努力ができます。
私たちの立場から、皆さんに学ぶことを強制はできません。勉強なんてしたくないよ、という人達を救うこともできません。
ただ、現状を何とかしたい、将来を何とかしたい、という人たちには、一人でも多く賢くなってほしい。自分で判断できる知恵や知識を持った、賢い労働者になってほしい。
この「労働トラブル相談士」という資格を通して学んだことが、必ず皆さんの将来の一助になると信じています。
CHREA代表 酒井 康博