

企業成長を左右するのは人事戦略|採用の質が組織の未来を決める
企業の持続的な成長を支えるのは、「人材」です。そして、その人材を採用するための人事戦略こそが、企業の未来を決定づけると言っても過言ではありません。
本稿では、企業成長の要となる人事の役割と、今求められる人材採用の考え方について詳しく解説します。
経営戦略を実現する「仕事ができる人材」とは?
企業が成長し続けるためには、経営者の理想やビジョンを理解し、その実現に向けた具体的な解決策を提案できる人材が必要不可欠です。
つまり、以下の3つの要素を備えた人材こそ、現代のビジネスにおいて求められる「仕事ができる人」と言えるでしょう。
- 得意分野を持っていること
- 知識と経験を活かし、課題解決へ結びつけられること
- 教養に裏打ちされた説得力を備えていること
たとえその得意分野が直接的に事業に関係ないように見えても、そこから導かれる知見が経営課題に対する示唆となり得ます。これは、ソフトバンクの孫正義氏が即決で採用を決めたエピソードからも明らかです。
なぜ「使い勝手のいい人材」は企業を劣化させるのか
しかし、多くの企業が陥りがちな誤りは、「使い勝手のいい人材」を採用し続けてしまうことです。
使い勝手のいい人材とは、次のような特徴を持つ人を指します。
- 従順であること
- 指示に忠実であること
- 管理しやすいこと
こうした人材は、確かに短期的には組織内での摩擦を生まず、管理職にとっては「扱いやすい存在」と映るかもしれません。しかし、自ら考え、行動し、経営課題に応えられる人材が不在となれば、企業は急速に競争力を失います。
多くの場合、その原因は管理職自身のスキル不足にあります。
つまり、「自分以上に優秀な部下を持つことを恐れ、自らの立場を守ることに終始する」――これが組織の劣化を加速させるのです。
管理職に求められる「仕事をさせる能力」
管理職は、プレイヤーではなくマネージャーです。
「自分で仕事をこなす能力」ではなく、「部下に仕事をさせ、最大限の成果を引き出す能力」が問われます。
具体的には、以下のような役割を果たすことが求められます。
- 経営からのミッションに対し、部下の力を駆使して成果を出す
- 部下が能力を発揮しやすい環境を整える
- 適切な評価とフィードバックを行い、モチベーションを維持させる
この視点が欠けている限り、組織は停滞し、いずれ市場競争から取り残されます。
人事部門は経営戦略の実行部隊である
多くの企業では、人事部門が「採用数のノルマ達成」や「マニュアル対応」に終始している現状があります。
しかし、本来の人事は、企業の未来を切り開くための「戦略実行部隊」でなければなりません。
人事に必要な3つの力
- 経営の志とビジョンを理解する力
- 企業の課題に応える人材を見極める目利き力
- 志を共有し、企業文化を築く仲間を迎え入れる力
これがなければ、どれだけ立派な経営理念を掲げても、それを実行できる人材は集まりません。
優秀な人事が企業にもたらすインパクト
人事部門の質は、企業の未来を左右します。
たとえば、ソフトバンクのように経営者自らが人事と一体となり、経営課題に応える人材を獲得できれば、急成長を実現することも可能です。
逆に、
- 事なかれ主義
- チェックリスト偏重の採用
- 経営課題に無関心な人事
こうした組織では、成長どころか緩やかな衰退が待っています。
まとめ|人事こそが企業成長の根幹を担う
採用は、単なる人員補充ではなく、経営戦略そのものです。
経営者のビジョンを実現するためには、その志を共有し、具体的な解決策を提案できる人材を採用しなければなりません。
そのために、
- 人事が経営と一体化すること
- 優秀な人材を恐れず迎え入れる文化を醸成すること
- 部下の能力を最大限に引き出す管理職を育成すること
が必要不可欠です。
人事戦略の質こそが、企業の未来を左右する――この原則を今一度、経営層も現場も認識すべき時です。
孫正義氏が「今すぐウチに入社しろ」と誘った「仕事ができる人」に共通する特徴とは? | 三木雄信の快刀乱麻を断つ | ダイヤモンド・オンライン