

リーダーとプレイヤーの違いとは?
名選手が名監督になれない理由と、理想のリーダー像を解説
ビジネスの世界で「リーダー」と「プレイヤー」を混同している人は少なくありません。プレイヤー時代に成果を上げていた人がリーダーになった途端、チームが機能しなくなる……そんな光景に心当たりがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、リーダーとプレイヤーは、求められる役割もスキルもまったく違うポジションです。それはまるで、サッカーで点を取るフォワードと、全体を俯瞰するディフェンダーのような違いとも言えます。
プレイヤーとリーダーの役割はこう違う!
◆ プレイヤーの役割
- 成果を自分で出すことが最大の使命
- 自ら考え、動き、結果を出す
- 自己完結ができることが重要
◆ リーダーの役割
- チーム全体の成果を最大化することが使命
- チームを俯瞰し、環境やペースを整える
- プレイヤーを育て、成果を出させることが仕事
「自分でやる」から「人にやらせる」へ切り替えなければ、リーダーとしては機能しません。
名選手が名監督になれない理由
「名選手、名監督にあらず」とはよく言われますが、その背景には以下のような問題があります。
- 成功体験を押し付けてしまう
- 「なぜできないのか」が理解できない
- 他人のペースや成長を待てない
これでは、メンバーは委縮し、自主性を失い、チームの成果は頭打ちになってしまいます。
スポーツに学ぶ、リーダーとプレイヤーの違い
サッカーや野球の現場でも、プレイヤーとリーダーの役割は分かれています。
サッカーでは、ディフェンダーやゴールキーパーがキャプテンを務めることが多いのは、フィールド全体を俯瞰し、適切なタイミングで指示やサポートを行えるからです。
名選手と名監督を比較!リーダータイプ別分類表
以下の表は、スポーツ界の名選手・名監督たちをビジネスリーダーのタイプに当てはめたものです。
ビジネスにおける「プレイヤーからリーダーへの転換」のヒントにしてください。
名前 | プレイヤー時代のタイプ | リーダー(監督)としてのアプローチ | 特徴と成果 |
---|---|---|---|
ジネディーヌ・ジダン | 天才型 | カリスマ × マネジメント型 | スター選手をまとめ、冷静に采配を振るう。CL3連覇達成。 |
ディエゴ・マラドーナ | 天才型 | カリスマ型 | 感覚的な指導で結果が出ず、監督としては成功しなかった。 |
アレックス・ファーガソン | 努力型 | マネジメント型 | 選手を育て、長期的な組織作りに成功。マンU黄金時代を築く。 |
スティーブ・カー | 努力型 | マネジメント × 理論型 | 脇役経験を活かし、選手の個性を引き出してチームを黄金期へ。 |
原辰徳 | 天才 × 努力型 | カリスマ × マネジメント型 | 勝負師としての決断力と育成型マネジメントを融合し、安定した成果を上げる。 |
栗山英樹 | 努力型 | マネジメント型 | 信頼と寄り添い型マネジメントで選手を育て、WBC優勝へ導く。 |
野村克也 | 努力型 | 理論 × マネジメント型 | データと理論によるID野球で無名選手を育て、ヤクルト黄金期を築く。 |
長嶋茂雄 | 天才型 | カリスマ型 | カリスマ性でチームを牽引するが、育成や理論型指導は苦手だった。 |
ビジネスリーダーにも当てはまる、3つのリーダー像
ビジネスの世界でも、スポーツと同じ構図が当てはまります。
【1】カリスマ型リーダー
- 自らの圧倒的成果や実績を元に牽引
- 部下に依存や疲弊が起こりやすい
- 例)創業経営者やトップ営業出身のマネージャー
【2】理論・マネジメント型リーダー
- 仕組みや戦略を重視
- 再現性が高く、組織力を強化
- 例)中間管理職や育成に長けたゼネラルマネージャー
【3】ハイブリッド型リーダー
- 自分の実績とマネジメントのバランスが取れたタイプ
- 部下の育成と組織全体の成果を両立
- 例)稲盛和夫氏やスティーブ・ジョブズ(第二期Apple)
「無事これ名馬」というリーダーの真価
リーダーは、派手さよりも継続性と安定感が問われます。
- ミスがない
- 無理をさせない
- チームが疲弊しない
これが、「無事これ名馬」。
ビジネスでも、組織の持続可能性を担保するために、リーダーが果たすべき最重要ポイントです。
プレイヤーからリーダーへ進化するための3ステップ
1. 成功体験を捨てる覚悟を持つ
「自分ならできる」ではなく、「人を活かす」にシフト。
2. 環境と仕組みを整える
人が力を発揮できる環境作りこそリーダーの腕の見せ所。
3. 人を信じ、育てることを楽しむ
リーダーは「自分の成果」ではなく「人の成果」を誇る存在。
まとめ
リーダーとプレイヤーは似て非なるものです。
「名選手、名監督にあらず」という言葉は、変化を恐れ、役割を切り替えられなかった人への警鐘とも言えます。
しかし、自分を変える覚悟と、他者を活かす力を養えば、誰もが名リーダーになれる可能性を持っています。
ビジネスもスポーツも、本質は同じ。
「自分がやる人」から「人を輝かせる人」へ。
その一歩を踏み出せば、組織は確実に強くなります。
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