

自由度こそ中小企業のアドバンテージである
「うちなんかじゃ、優秀な人は来てくれないよ」。 このような言葉を中小企業の経営者は、会社を廃れさせるだけです。いま、中小企業がエリート人材を獲得できる時代が、静かに到来しています。しかし、それは会社のアイデア次第。
その背景にあるのが、大手企業の「出社回帰(Return to Office)」と、働き手の「自由志向」の決定的なズレです。
このコラムでは、「自由な働き方」を軸に、中小企業が優秀な人材を採用するための発想転換を提案します。

大手企業に広がる出社回帰の波
2025年現在、日本の大手企業の多くが出社回帰を進めています。たとえば、以下のような動きが見られます。
- 週5日出社の義務化(例:アクセンチュア、アマゾンジャパンなど)
- フルリモートの廃止(例:LINEヤフー、Microsoft Japanなど)
OpenWorkやIndeed Japanの調査でも、約半数の企業が出社義務を課しており、特に週5出社を課す企業が2割を超えています。
一方で、求職者側は明確に「柔軟な働き方」を志向しており、Indeedではフルリモートの検索数がコロナ前比で90倍に跳ね上がったというデータもあります。
つまり、大手は出社を求め、働き手は自由を求める──ミスマッチが加速しているのです。
優秀層ほど「出社強制」に背を向ける
こうした動きに対し、最も鋭敏に反応しているのがスキルに自信を持つ即戦力人材です。
彼ら・彼女らの共通点は、次のような価値観にあります:
- 会社にしがみつかない:自分の市場価値を把握しており、無理して今の職場に残る理由がない
- ワークライフバランスを重視:生活全体の最適化を重視し、通勤時間や無意味な出社を避ける
- 新しい挑戦への意欲が強い:現状維持よりも、常に次のステージを模索している
これらの人材は、条件が合わなければ即転職する行動力と実力を持っており、大手の硬直した制度設計ではもはや囲い込みが難しいのです。
中小企業こそ、彼らを迎え入れる土壌がある
一見すると、大手に比べて人材確保が難しい中小企業。しかし、その逆転の発想こそがカギです。
中小企業は、大手にはない「自由度」という最大の武器を持っているのです。
この柔軟性を活かせば、優秀層に対して「ここでもいい会社」ではなく、「ここがいい会社」になれる可能性が生まれます。
では、その自由度とは具体的にどのような条件でしょうか?
以下は、実際に導入されている事例や制度を参考にした、「大手では実現しにくい中小企業の柔軟な条件例」です:
| 条件カテゴリ | 内容の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 勤務場所 | フルリモート、地方在住OK | 地方の人材・子育て世代に刺さる |
| 勤務時間 | 完全フレックス、短時間正社員 | 時間的自由を求める層を獲得 |
| 成果報酬 | 固定+成果、プロジェクト単位報酬 | 成果で勝負したい即戦力にアピール |
| 副業・複業 | 副業容認、社外活動推奨 | 自立志向の人材に強く響く |
| キャリア支援 | 資格取得支援、学び直し補助 | 若手やリスキル志向の人材に効果 |
これらは一例に過ぎませんが、会社の特性や文化に合った自由度の設計が肝になります。
変わり種制度で“共感”を得る
また最近では、実際に導入されている「ユニーク制度」が採用に効果を発揮しているケースも増えています。
以下は実例ベースでの様々な制度です:
- 長期勤続リフレッシュ休暇+旅行補助
- 社会貢献活動を目的とした有給制度
- 失恋休暇・ペット休暇など感情に寄り添う制度
- 出戻り復職制度(最長6年ブランクOK)
- 定時30分前の早退OK(業務完了時)制度
これらの制度が重要なのは、福利厚生の内容以上に「この会社ならわかってくれそう」という共感や親和性を醸成するという点です。親和性が高いから、会社自体への愛着も湧く。その結果離職率も下がる、というサイクルを生みます。
「制度」ではなく「姿勢」が刺さるのです。
中小企業の経営者に必要なのは“制度”より“アイディア”
ここで強調したいのは、制度の整備=コストをかけることではないということです。
大事なのは、「自社のリソースと文化の中で、どんな柔軟な制度なら提示できるか」という経営者のアイディアとセンスです。
すべての中小企業が同じ制度を導入する必要はありません。自社の特性に合った条件を考えればよいのです。
- 「定着率を高めたい」→リフレッシュ制度、育自休暇など
- 「スキル人材が欲しい」→副業容認、プロジェクト報酬など
- 「地域密着型で移住希望者を取り込みたい」→フルリモート+家賃補助 など
他社と同じことをやる必要はない。自社ならではの“選ばれる理由”を作ることが勝負なのです。
大手のRTOトレンドを真似るのは“無能”の選択
ここまで筆を進めてきて、明らかになったことがあります。
それは──
”中小企業が大手のRTOを真似しても、何も得られないどころか、自らの強みを捨てることになる。”
大手が出社を義務づけても、それは「制度的にそうせざるを得ないから」です。中小企業には、意思決定の柔軟性と、社員と向き合う距離感という大きな利点があります。
そのアドバンテージを、自ら放棄してどうするのか?
採用市場は「制度の立派さ」ではなく、「人に合うかどうか」で決まります。そして、自由な働き方を望む優秀層は今、行き場を探しています。
それを拾えるかどうかは──経営者のアイディアと決断次第です。
まとめ:いまこそ中小企業が選ばれる時代へ
中小企業の経営者は、もう「うちは小さいから…」と卑下する必要はありません。
むしろ、大手が回帰という名の退行をしている今こそ最大のチャンスです。
- 大手は出社義務でエリート層を手放している
- 優秀層は「自由」と「共感」で会社を選ぶ
- 中小は柔軟性という最大の武器を持っている
- 必要なのは、制度よりもアイディア
この方程式に気づいた企業から、未来の人材獲得競争を制していくことになるでしょう。
自由こそ、中小企業の資源であり、勝機です。
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